イスラエル戦争の嘘 第三次世界大戦を回避せよ
Amazonでチェックする佐藤 ええ、もしアル・シファ病院の地下に軍事施設が何もなく、武器も出てこなかったなら、私は情報を扱う者として、以後は少なくともパレスチナ問題に関しては発言権を失うという覚悟で臨んでいます。
本書 p.48
手嶋 たとえ戦闘が終了しても、ガザ地区には平和が戻ってくるとは限りません。1月末の段階でガザ地区の死者が2万5000人、そのうちの半数が女性と子どもだといわれます。
本書 p.63
佐藤 一歩間違えば、間違いなく、最悪の事態が現実になっていたと思います。ハレヴィ氏は単身でアンマンに乗り込んで国王と皇太子に接見し、ヤシンの釈放を持ちかけました。国王が提案を受け入れ、緊張が解けてきた機を捉えて、ハレヴィ氏は「国王陛下に一つだけお願いがあるのですが」と切り出します。国王に「何を望むのか」と尋ねられ、ハレヴィ氏は「ただ、お慈悲をくださいますように」と答えます。「お慈悲とは何か」と尋ねる国王に「陛下、私の口からは申し上げられません」と。国王は「よしわかった。大使館にいる4人をすぐに連れて帰れ」とお言葉があったそうです。
本書 p.145
本書はもはやシリーズになっている佐藤優と手嶋龍一の対談本です。ウクライナに続いて、イスラエル版が出ました。
今回も侃々諤々の議論が交わされています。どちらもイスラエルが国際法に違反してガザ地区のアル・シファ病院を爆撃したのなら、軍事施設であったことを示すべきだという点、それからイスラエルとパレスチナの思考法、内在的論理を知る必要がある点については合意しています。
手嶋龍一は戦闘で一番なくなるのは女性と子どもだと何度も述べています。しかし私はフリーカメラマンの宮島茂樹さんの講演で、「戦争で一番死ぬのは兵士です」と聞き、はっとしました。女性や子どもが亡くなるのは事実ですし、痛ましくもあります。今回のガザ地区の死者数のうち、半数は女性と子どもとのことで、さらに痛ましい状況ではあります。しかし、兵士も同じぐらい亡くなっており、その兵士にも家族がいるはずです。痛ましいことには変わりません。
本書では現役時代からイスラエルの諜報機関であるモサドの長官、エフライム・ハレヴィをはじめとする複数のインテリジェンスオフィサー(諜報部員)とやり取りのあった佐藤優の確かな分析が光ります。感情論ではなく、具体的な事実をベースに、イスラエルの考え方(内在的論理)を明らかにしています。
佐藤優の語るハレヴィ氏のエピソードからは、いくら情報を分析しても、最後は人と人なのだなと痛感させられます。ハレヴィ氏は教養もあり、人間的に魅力もある方なのだそうで、そういう方だからこそ、冒頭に引用したエピソードにある通り、ヨルダン国王も意を汲んでくれたのだろうなと思います。
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