これからは、自分の頭で考え、自分自身で判断する力をつけるための勉強が求められる時代になるのです。そして、そのための有効な手段の一つが「独学」だと私は思っています。
本書 p.22
学問に限らず、世の中のほとんどのことについて、何が正解なのかよくわかっていないのです。だから、仕事においても、生活においても、本当に重要なのは、正解のない問題にぶつかったときに、自分なりに答えを出そうとして考えていくことだと思うのです。
本書 p.28
本書の著者は青年期からイランにのめりこみ、学生時代にイランに留学、現在もイランを拠点に日本とイランを行き来している方です。内容があまりにもセンセーショナルであるため、イラン政府からよからぬ嫌がらせをうけないように、著者はペンネームで出版しています。著者が実在の人物であることを、ノンフィクションライターの高野秀行さんが担保する形であとがきを書かれています。
本書の内容は、イランに行ったことのある人ならさもありなん、と感じるでしょうが、知らない人、公式の情報にしか接したことのない人からすると衝撃的です。
イランではタクシーに乗ると比較的政権批判は耳にします。同じく独裁国家である中国ではあまりないことです。人々は自由に文句が言える緩さがある、とも感じます。しかし、本書で書かれてあるほど生々しい声は、旅行で行ったぐらいでは知ることができません。住んで知己になってこそ、そしてペルシャ語が分かってこそ、書けた話だと思うので、大変貴重な証言です。
著者はイランの内実を暴露しているものの、本音と建て前というようなイラン社会を批判しているわけではありません。その文脈から、イランへの愛が感じ取れます。イランが好きだからこそ、イランのことをもっと知ってほしい、そう思って内情を書いているのだと読み取りました。